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よしだたくろう

 8月29日に、吉田拓郎が自ら選んだ27曲がレーベルの枠を越えて収録されたアルバム「From T」が、発売されます。発売まで収録曲は未公開ということです。
 あらためて拓郎の曲の歌詞を見ていて、拓郎の作詞ではない曲が意外とあるのに気づきました。吉田拓郎といえば、シンガーソングライターの代名詞です。実際、自ら歌う作品の作曲はしていますが、作詞については、岡本おさみや松本隆らであることがよくあります。

 森進一が歌って、1974年の日本レコード大賞と日本歌謡大賞を受賞した襟裳岬や、初期の旅の宿も岡本おさみの作詞です。襟裳岬は北海道の昆布採りの女性の描写から(1)旅の宿は岡本おさみの実体験から(2)生まれたそうです。他にもおきざりにした悲しみは落陽祭りのあと、などは岡本おさみ。言葉外は白い雪の夜、などは松本隆の作詞です。
(参考:(1):追悼・岡本おさみ① http://www.tapthepop.net/song/26053
(2):「ぬくもり残る66号室」2010年5月3日 読売新聞)

 岡本おさみが詩を書いた後、拓郎が電話越しに歌いながら詩を完成させていったというエピソードもあるので、コラボの面もあるようです。
(参考:追悼・岡本おさみ① http://www.tapthepop.net/song/26053)

結婚しようよ明日に向って走れ元気です夏休みたどり着いたらいつも雨降り人間なんてとなりの町のお嬢さん人生を語らず今日までそして明日から、などは、拓郎の作詞・作曲です。こうして分けてみると、拓郎の詩は、よりストレートであるようです。
岡本おさみらの詩は、強いて言えば、よりストーリー性があるという印象です。

 いずれにしても、拓郎が歌えば、どの詩も拓郎らしくなるのは、間違いありません。

 夏休みという歌には、夏休みの象徴である麦わら帽子や蛙も消えた、という内容の歌詞があります。
 拓郎が被爆地広島の出身であることから、夏休みは、反戦の歌だという説があります。誰かがどこかで言ったことが、確証のないまま広まったようです。
 そう言われれば、そう思えなくもありませんが、拓郎本人にその意図はないという話もあり、真偽のほどは定かではありません。

 詩や芸術作品は、発表されたときから、作者の手を離れて、見る人、聞く人のものだといわれますが、あまりむつかしく考える必要もありません。それぞれが感じるままでいいのではないでしょうか。拓郎をリアルタイムに聞いていた人は、聞いていた当時の情景を思い出しながら、また若い人は若い人なりに聞けばいいと思います。若い人が聞くと、新しいと感じる人が意外と多いようです。

 かつて作家の遠藤周作は、自らの著作が国語の入試問題に出されたと聞いて、作者の意図は何かという問題を自分で解いてみたそうです。すると何と不正解だったと何かに書いていましたが、それもアリなのだと思います。そういう微妙なものを国語の問題として出題するのが適切かどうかは別として。
(敬称略)

「太陽を食べる系」と「地球を食べる系」

 偶然途中から観たテレビ(7月25日NHK Eテレの「ヘウレーカ」)で、「太陽を食べる(生態)系」の他に、「地球を食べる(生態)系」が見つかったことで、太陽(恒星)からの距離に関係なく、地球外生命体を探せるようになったという話をしていました。
 テーマは、地球外生命体が見つかる可能性だったのですが、それよりも「太陽を食べる系」以外に、「地球を食べる系」があったということの方に興味を持ちました。

 植物は太陽の光で光合成をして、太陽のエネルギーを蓄えます。その植物を動物が食べ、またその動物を別の動物が食べるという食物連鎖が成り立っています。生命のみなもとは、太陽であり、このような生態系を「太陽を食べる系」と呼んでいます。
 太陽が生命の中心であるという考えは、古来、日本の天照大神やエジプトのラーなど世界各地で太陽が神格化されていることから、人類共通でもあります。

 ところが、太陽の光の届かない2千メートル以上の深海でも、豊かな生態系が存在していることが発見されました。そこでは数百度という熱水が噴出していて、その周囲には、熱水に溶け出した鉱物や化学物質を利用した微生物やエビ・カニなどを含む豊かな生態系が展開されています。この生態系は太陽とは関係ないので、「地球を食べる系」と呼ばれているのです。
 太陽がすべての生命のみなもとであると考える立場からすると、「地球を食べる系」は、まったく思いもよらない生命のシステムです。

 生命以外のエネルギーで考えてみると、石炭や石油といった化石燃料の元は、古代の植物や動物なので、太陽エネルギー由来です。しかし、核エネルギー(原子力発電)や地熱エネルギー(地熱発電)などは、地球由来のエネルギーです。人間の利用するエネルギーの観点からは、既に「太陽由来エネルギー系」と「地球由来エネルギー系」があり、太陽由来エネルギーのみという考えから脱却しています。

 固定観念から脱却することで、可能性が広がります。
 当たり前と考えられていたことから抜け出して発想を変えることは簡単ではありません。「太陽を食べる系」が当たり前で、人類共通の認識でもありましたが、深海の「地球を食べる系」が発見されたことで、惑星そのものに依存する生態系も探索しようということになりました。探索範囲が広がることで、地球外生命体の発見の可能性が大きくなったのです。

 今回は、事実からヒントを得て、固定観念から抜け出すことで可能性を広げたという例ですが、そもそも固定観念にとらわれずに発想を柔軟にしてさまざまな可能性を探るという方法もあります。やみくもにあらゆる可能性を検討するのは、人生という時間の制約もあり、賢明とはいえません。しかし日頃から柔軟な発想を心がけていれば、一見何のつながりもないものの間の関係性を見抜けることがあります。
 別の機会に、固定観念や従来の常識にとらわれずになされた医学・医療上の発見の例を取り上げたいと思います。
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